「自分の気持ちがわからない」と感じるあなたへ【第2話:こころのメモ①】
感じないことで、守ってきた
成功しているのに『しぼんだ風船』
「大変だなぁ、って思いました」
私が真里奈の状況を整理して聞き返したときの、彼女の答えです。
充実した仕事をもち高い評価を得ているのに、満たされず、自信をもてず、『しぼんだ風船のようだ』と語った真里奈。
自分自身の話を、どこか遠い国の知らない人のことのようにしか受け取れない——その様子に、胸が痛みました
自分のことなのに他人事?「感情の解離」という心の防衛反応
これは「感情の解離」と呼ばれる現象です。自分の苦しみが大きすぎて、心が自分を守るために、感情を「切り離して」しまうのです。
真里奈は8年間、職場で責任ある立場を務めてきました。でも同時に、家庭では自分の感情を押し殺し続けてきました。「私が我慢すれば」「もっとしっかりしなければ」と。
気づけば、自分の痛みを「自分のこと」として感じることができなくなっていたのです。
他人には的確なアドバイスができる。「カウンセリングをすすめる」と即答できる。でも、自分のこととなると、途端に判断が曇ってしまう。
心が発する「守り」のサインは、回復への道しるべ
あなたは今、自分の感情を素直に感じることができていますか?
それとも、どこか「他人事」のような感覚になることがありますか?
もしそうなら、それは、あなたの心が自分を守ろうとしている証拠です。
同時に——回復への道しるべでもあるのです。
自分が何を感じているか?素直に感じることができているか?
すこしだけ意識を向けてみませんか?
もしあなたが今、「自分の気持ちがわからない」という深い霧の中にいるのなら、まずはその事実に気づけた自分を認めてあげることから始めてみてください。