「どう思う?」答えられない自分に気づいた日:第1話【こころのメモ⑤】
誰の人生を生きていますか?
真里奈から「私は」という言葉が、いつから消えてしまったのでしょうか?
「夫は『昇進には絶対に必要だ』って…」
「夫が『チャンスを逃す』って…」
真里奈が自分の仕事について語るとき、いつも「夫」で始まった。
「真里奈さんはどうお考えでしょうか?」
そう尋ねても、返ってくるのは「夫の意見」ばかり。
彼女の頭の中では「夫」が「自分」を覆い尽くしていました。 真里奈自身の声は、もう、かすれて消えかけていました。
相手の価値観が、いつの間にか自分の価値観になってしまう。 相手の声が、いつの間にか自分の声になってしまう。
「私はこうしたい」という言葉が、どんどん遠く、小さくなっていく。
真里奈は自分を見失っていました。 誰にも相談できず、一人で限界まで頑張り続けていたのです。
「真里奈の昇進のために手伝う」ーー夫からの愛情と思いやりを受け取ったはず。
「なぜできないんだ」
「もっと集中しろ」
「数週間前と矛盾している」
厳しいけど、「正当な指摘」だと感じたメッセージ。
「負担が増える中」手伝ってくれる夫。
苦しみは感じている。
でも——自分を見失っていることに、気づけない。
どうしてこうなったのか、わからない。
これこそが、心の束縛の最も恐ろしい側面です。
心の中は見えないから、巧妙で、気づきにくい。
真里奈は今、まるで蟻地獄にはまったように、身動きが取れない。
知らない間に、少しずつ砂が積もっていて、いつの間にか埋まってしまった…。
あなたは今、自分の気持ちを話していますか?
誰か他の人の声を代弁していませんか?
「苦しい」
「でもなぜかわからない」
「夫のことは、子供のことは、上司のことは、わかるけど、自分はどうしたいかわからない」
たとえそうであっても、 「本当は、私は…」
その声は、必ずあります。あなたの心の中に、必ずあります。
真里奈と一緒に探してみませんか?